はじめてのBlenderアドオン開発 (Blender 2.7版)

Last Update: 2019.4.2

4-3. アドオンを公開する

アドオンを作れるようになると、作ったアドオンを公開して他の人に使ってもらいたいと思うときがきます。 しかし、アドオンを公開すると簡単に言っても、どのように公開したらよいのかわからない方もいるかもしれません。 そこで本節では、アドオンを公開する方法について紹介します。 作ったアドオンを、他の人にも使ってもらいたいと考えているのであれば、ぜひ本節に目を通してください。

アドオンの公開手段

アドオンを公開すると一言でいっても、公開する手段は1つではありません。 アドオンを公開する方法としては、例えば次のような方法があります。

ここで示したそれぞれの方法について、説明します。

個人のホームページやブログで公開する

アドオンを公開する方法として真っ先に思いつくのは、個人で持つホームページやブログで公開する方法ではないでしょうか。 ほとんどのホームページやブログはファイルをアップロードする機能があるので、アップロード機能を利用して作成したアドオンを公開することができます。

ただし、個人のホームページやブログでアドオンを公開する場合は、アドオンの紹介ページを自由にカスタマイズできるメリットがあるものの、ホームページやブログを事前に用意しなくてはならないため、手間がかかります。 すでにホームページやブログを持っているのであれば、アドオンの公開の選択肢として考えてもよいと思いますが、どちらも持っていない方はこれから紹介する方法で公開するのがよいと思います。

ソースコード管理サイトで公開する

Blenderのアドオンはソースコードそのものであるため、ソースコード管理サイトでアドオンのソースコードを公開することで、アドオンを公開することができます。

ここでは、有名なソースコード管理サイトのうち、アドオンの公開場所として比較的よく使われるサイトを紹介します。

GitHub

https://github.com

GitHubは、ソースコード管理サイトの中で、最も有名なサイトと言っても間違いではないサイトです。 プログラマをはじめとしたIT業界の方はもちろんのこと、最近はデザイナーなどのIT業界以外の方にも知られてきているサイトです。

GitHubでアドオンを公開するためには、バージョン管理ツールであるGitの使い方を理解する必要があります。 その代わり、アドオンのチュートリアルを書くときに便利なWikiなど、アドオンを公開するために必要な機能が標準で備わっています。

アドオンを公開する際に有用な、GitHubの機能を示します。

機能名 機能概要
GitHub Release ソフトウェアをGitHub上で配布するための機能です。
アドオンはソースコードで構成されるため、直接ソースコードをダウンロードして配布しても問題ありません。しかし、アドオンに対してバージョン決めて配布する場合は、バージョンごとにユーザがダウンロードできた方がよいはずです。このようなとき、本機能が役に立ちます。
gh-pages GitHubはソースコードを管理するだけでなく、プロジェクト毎にWebページを作ることができます。
本機能を用いると、個人でWebページを作成するときに必要となるHTMLなどの知識がなくても、Markdown記法を覚えるだけでアドオンの紹介ページを作成することができます。
Wiki プロジェクトごとにWikiページを作ることができます。
アドオンのチュートリアルなど、アドオンの情報をまとめる時に役立ちます。
Issue バグや課題を管理するための機能です。
バグ報告やアドオンに関して議論する場として利用することができます。
Pull Request アドオンを最初に作成した人以外の人がソースコードを修正し、修正した人が修正内容の反映依頼を、アドオン作成者に対して出すことができる機能です。
アドオンに不具合があった場合に、修正してくれる人がいるかもしれません。

また、GitHubは最近になってから、リポジトリごとにtopics(タグのようなもの)を設定できるようになりました。 topicsを設定することで、リポジトリがどのようなジャンルに属しているかがわかるようになります。 なお、Blenderのアドオンのリポジトリであれば、次に示すtopicsをつけておけば良いと思います。 ちなみにblender-addonは、筆者が作成したBlenderのアドオンのリポジトリであることを示すtopicsで、現在50以上のリポジトリがこのtopicsを設定しているようです。

本書の執筆時点では、アドオンのソースコード管理やチュートリアルサイトの作成をGitHubで行い、後述するアドオン宣伝サイトでアドオンの宣伝を行うのが主流です。

SourceForge

http://sourceforge.net

GitHubが登場する前は、SourceForgeがソースコード管理サイトの主流であったように思えます。 しかしGitHubが登場してからは、徐々に利用者が減ってきているようです。 こちらはSubversionをベースとしたソースコード管理サイトであるため、Gitは使えないがSubversionなら使えるという人であれば、SourceForgeを利用することを検討してもよいと思います。 もしSubversionもGitも知らないのであれば、今後もしばらくソースコード管理サイトの主流となるであろうGitHubを利用することをおすすめします。

PasteAll.org

http://pasteall.org/

リポジトリを作るまでもなく、ただ単にソースコードを公開したい場合に便利なのが、ここで紹介するPasteAll.orgです。 ユーザ登録することなくソースコードを公開でき、公開したソースコードをWeb上から参照したり編集したりすることができます。 Pythonスクリプトや単純なアドオンを公開する場合など、ソースコードの規模が小さいものを他の人と共有したいときに便利です。

GitHub Gist

https://gist.github.com/

PasteAll.orgと同じようにソースコードを公開するだけであれば、GitHub Gistも便利です。 PasteAll.orgの機能であるソースコード編集機能はありませんが、コメントやお気に入り機能に加えて、複数ファイルを扱えたり編集履歴を参照できるなど、PasteAll.orgには存在しない有用な機能が備わっています。

Gistにソースコードを公開するためには、GitHubのアカウントが必要です。 GitHubのアカウントを持っているのであれば、PasteAll.orgの代わりにこちらを利用してもよいと思います。

Gumroad

https://gumroad.com/

Gumroadは、もともと画像などのコンテンツを個人で販売するためのWebサービスですが、最近では、BlenderのアドオンをGumroadで販売することが多くなってきています。 販売価格は0円から指定が可能です。 販売価格を0円に指定した場合は基本無料で配布されることになりますが、アドオン作成者としては寄付されることを望んでいると考えた方がよいでしょう。

他のWebサービスのような、ソースコードの管理としての機能はGumroadにはありません。 しかし、アドオンを有料で公開したい場合や、アドオンの開発に対して寄付してもらいたい人は、利用するとよいかもしれません。

アドオン宣伝サイトで公開する

Web上には、Blenderのアドオンを宣伝できるサイトがたくさんあります。 このようなサイトでは、新しいアドオンを使いたいと考えている人が閲覧している可能性が高いため、作成したアドオンを宣伝サイトで公開することで、アドオンを使ってもらえる可能性が高くなります。

アドオンを宣伝できるサイトは国内だけでなく、海外にもたくさんあります。 Blenderの海外ユーザ数は国内に比べて多いため、海外のサイトでアドオンを宣伝したほうがアドオンを使ってもらえる可能性が高くなります。 ただし、海外のサイトでは英語で宣伝する必要があります。 なお、自動翻訳による英語がわかりづらいという問い合わせを、海外サイトでときどき見かけます。 3-7節 でも説明したように、文章が不自然になりがちな自動翻訳は最終手段と考え、できるだけ自動翻訳に頼らずに英文を作るようにしましょう。

アドオン宣伝サイトに投稿するときは、少なくとも次に示す内容が書かれていることを確認しておきましょう。 なるべく動画や画像を利用して、閲覧者が理解しやすい説明を心がけるとよいと思います。 特に、英語があまり得意でない人が海外サイトで宣伝する場合、文章だけでは誤解が生じて無駄な問い合わせが発生する可能性が高くなります。

アドオンを公開しているページで上記の情報をすでに記載している場合、同じ内容を書くのは冗長になってしまいますので、概要だけを記載して残りは公開ページを参照してもよいと思います。

ここからは、アドオンの宣伝サイトを紹介します。

Blender Artists Community

http://blenderartists.org/forum/

4-1節 でも紹介した、Blenderのコミュニティサイトです。 Blenderのコミュニティサイトの中でも最大級のサイトで、毎日のようにアドオンの投稿や投稿したアドオンに関する議論が行なわれています。 ここにアドオンを投稿すれば、海外の方にアドオンを使ってもらえる可能性が非常に高くなります。

Blender Artists Communityにアドオンを投稿すると、かなり高い確率で質問やアドオンの改善のためのレスがつくと思いますので、可能な限り対応するようにしましょう。 レスしてくれた人は、アドオンに対して興味を持ってくれていると考えられるので、今後もアドオンを使ってもらえるように丁寧に対応しましょう。 開発者本人でも気が付かなかった問題点などを指摘してくれるユーザは、非常に大切です。

アドオンの投稿は、Blender Artists Communityでアカウント登録した上で、[CODING] > [Released Scripts and Themes] から行います。 [POST NEW THREAD] ボタンをクリックすることでスレッドを作ることができます。

Blender.jp

https://blender.jp

こちらも 4-1節 で紹介した、国内のBlenderのコミュニティサイトです。 かつては、フォーラムの [Pythonスクリプト・Plug-in] 板を利用して、開発したアドオンを投稿・宣伝することができました。 執筆時点では、フォーラム全体に対して投稿できなくなっています。 このため、開発したアドオンを投稿・宣伝できる国内のコミュニティサイトは、次に紹介するblug.jpまとめサイトしかありません。

blugjpまとめサイト

https://sites.google.com/site/blugjp/blenderpython

4-1節 で紹介した、BLUG.jpさんによるまとめサイトです。 BlenderPythonのページにて、アドオンを継続して開発している方をリストアップしています。 TwitterやBlender Artists Communityなどでアドオンを宣伝している方が中心に登録されているようです。 アドオン開発者として登録してもらいたい場合は、アドオンの宣伝を積極的に行って管理人であるBLUG.jpさんにアピールすることが大切です。 ただ、BLUG.jpさんが常にアドオンの宣伝を見ているとは限らないので、どうしてもアドオン開発者としてまとめサイトに載せてもらいたいのであれば、TwitterなどでBLUG.jpさん(Twitter:@blug_jp)に直接お願いしたほうがよいでしょう。

Twitter

https://twitter.com

Twitter社が運営しているミニブログサイトで、アドオンの宣伝にも利用することができます。

Twitterでは投稿文字数に制限があります。 このためTwitterで宣伝する場合は、動画・画像を一緒にアップロードしたり、詳細なWebサイトのリンクを添えてツイートしたりするなど、短い文章でアドオンの機能が相手に伝わるように工夫しましょう。

また、TwitterにはBlender用のハッシュタグとして、#b3d や #blender があります。 これらは、国内のみならず海外でも使われるタグであるため、英語でツイートすれば海外の人にアドオンを使ってもらえる可能性があります。 ぜひ、活用しましょう。

Google+

https://plus.google.com/collections/featured

Google社が運営するSNSであるGoogle+には、Blenderのコミュニティがあります。

Blenderで作成したCG作品を公開するコミュニティが多いようですが、一部のコミュニティではアドオンの宣伝を行うことができます。 例えば、次のコミュニティがアドオンの宣伝の場所に適しています。

筆者は、Google+の上記のコミュニティに作ったアドオンを投稿しましたが、Twitterに比べて拡散力は弱いこともあり、宣伝力としてはTwitterに比べて劣っていると感じました。 ただし、Twitterでの文字数制限が実質上ないため、長文で投稿したいときに使ってみる価値があります。 なお、紹介したコミュニティは海外のコミュニティですので、英語での投稿が前提となります。

YouTube

https://www.youtube.com

言わずと知れた動画共有サイトで、あえてYouTubeについてここで説明する必要はないかと思います。 宣伝としての使い方ではなく、作成したアドオンのチュートリアル動画を公開するときに使うことになると思います。 動画共有サイトは他にも数多くありますが、アドオン開発者はYouTubeを使っていることが多いように思えます。

動画にはタグを設定することができるため、Blenderのアドオンに関連したタグとしてBlenderやAdd-onあたりを設定しておくとよいと思います。

reddit

https://www.reddit.com/

4-1節 で紹介した、Webサービスです。 筆者は一度も投稿したことがないのですが、redditでBlenderのアドオンを宣伝することもできるようです。 実際に執筆時点で、宣伝目的のための投稿がいくつかありました。 しかし、アドオンの宣伝目的での利用はあまり活発ではなさそうであるため、これまでに紹介した宣伝サイトに比べて宣伝効果は小さいかもしれません。

Bleder本体に取り込んでもらう

ここまで、アドオンの公開の仕方について紹介してきましたが、より多くの人にアドオンを使ってもらうための一番よい方法は、作成したアドオンをBlender本体に取り込んでもらい、Blenderの正式なアドオンとして登録してもらうことです。 Blender本体にアドオンが取り込まれると、Blenderをインストールした人がインストール作業を行う必要もなく、アドオンを利用することができるようになります。

さらに、Blenderに正式に登録されているアドオンは開発者のレビュー(審査)に合格する必要があるため、非公式のアドオンと比較して高品質なものが多い傾向があります。 Blenderの開発者によるレビューを通過するのは決して簡単なことではありませんが、一度Blender本体に取り込まれてしまえばアドオンの利用者は確実に増えますので、挑戦する価値があります。

また、Blender本体にアドオンを取り込んでもらうことは、アドオンを使ってもらう機会が増える点でうれしいことですが、オープンソースソフトウェアに貢献しているという点においても達成感のあることです。

本書では、作成したアドオンをBlender本体に取り込んでもらうまでの流れについて、4-6節 で解説しています。 Blenderのアドオンを本体に取り込んでもらうことに興味がある場合は、ぜひ参考にしてみてください。

アドオン公開後のメンテナンス

さて、ここまでに紹介したいずれかの方法でアドオンを公開したとします。 アドオンを公開してしばらくすると、ユーザから不具合報告や要望などのフィードバックをもらうと思います。 これらのフィードバックに対してきちんと対応できているのであれば問題ありませんが、アドオンを公開したことに満足してしまい、その後のメンテナンスをやめてしまうアドオン開発者が少なくありません。 これは、非常にもったいないことだと思います。

アドオンに対して要望をユーザから受けるということは、アドオンに対して批判をしているのではなく、特別興味を持ってくれていると考えた方がよいです。 このようなユーザの意見を無視するのは、アドオンの公開をやめてしまったことと同じと考えてよく、いずれユーザが離れていってしまうでしょう。 実際、コミュニティサイトでも、長い間メンテナンスされていないアドオンに対して、メンテナンスしてくれる代わりの人を求めるような投稿がときどきあります。

筆者はアドオンを公開してからが本番と言ってよいくらい、アドオンを公開した後のメンテナンスが重要と考えます。 せっかくアドオンに対してユーザから意見をもらえたのですから、できる範囲で対応することが重要です。 ユーザに対して真摯に対応を続ければ、アドオンに対する評価が上がっていき、他のユーザへ紹介してもらえるかもしれません。

また、アドオンへの新機能追加も積極的に行いましょう。 アドオンへ頻繁に新規機能を追加することで、より多くの方がそのアドオンに対して興味を持つようになると思います。

まとめ

本節ではアドオンの公開方法を紹介しましたが、最終的には開発者が宣伝しやすい方法でアドオンを公開するとよいと思います。 なお最近では、GitHubでアドオンのソースコードを公開し、TwitterをはじめとしたSNSやアドオン宣伝サイトでアドオンを紹介することが、アドオン開発者の間でトレンドとなっているようです。

アドオンの開発は、アドオンを公開した時点で終わるわけではありません。 アドオンを公開した後もユーザからの意見を無視するのではなく、必ずメンテナンスするようにしてください。 すぐにではないかもしれませんが、メンテナンスを継続することでアドオンの利用者は増えていきます。

ポイント